基本的心得

其の一 さりげない思いやり(Casual Consideration)

日本には、「さりげない思いやり」と「おもてなし」という日本人の特質を表した言葉があります。日本の「和」の精神を受け継ぎ、自分を犠牲にしてでも他人の立場に思いやる心の機微は、外国人には理解できません。これこそが、福祉の神髄だと思います。常に心がけてください。

其の二 笑顔をつくる

心の平静を保ち、常に穏やかな表情を作ることをこころがけましょう。
人間には「相(そう)」という姿があって、その「相」に相応(ふさわ)しい性質「性(しょう)」ができあがり、その「相」と「性」にあった主体「体(たい)」ができあがると言われています。
すなわち、笑顔を作れば、それに相応(ふさわ)しい性格ができあがり、その性格に相応(ふさわ)しい人格になれるということです。

其の三 あいさつをする

「あいさつ」なくしてコミュニケーションは成り立ちません。
「あいさつ」は基本中の基本です。自分の気分や感情によって、「あいさつ」をしたり、しなかったりなど、もってのほかです。

其の四 感謝の気持ちを忘れない

何事にも感謝の念を持ち続けると、自分の気持ちがおだやかになるばかりでなく、周りにも伝播(でんぱ)して、周囲の人の気持ちもおだやかにしてしまいます。
ヘルパーに対していつも感謝とねぎらいの言葉をかけてくださる方がいますが、そのことでヘルパーがどれほど励まされているか。互いの信頼のうえにたったケアは、実績報告で表される字面(じづら)は同じであっても、最上級の質になるのは必然です。

其の五 相手の気持ちになる

福祉に携(たずさ)わる者にとって重要な心得です。
自分がやられて、嫌なことはしない。自分がされて、うれしいことをする。
この修練を続けていくと、自分の行動を客観(きゃっかん)視(し)できます。
常に自分の行動を俯瞰(ふかん)できるようになると、さらに踏み込んで相手の立場を理解できるようになります。

其の六 自分の感情をコントロールする

人間は、気分の持ちようで落ち込んだり、元気が出たりするのは自然です。しかし、周囲の人にとって、情緒が不安定な人の感情の露出はたまったものではありません。感情を抑える修練、場合によってはカウンセリング療法、重症のときは早めに治療を受けなければいけません。併せて、相手の気持ちになることと自分を俯瞰(ふかん)する修練を積むことです。

其の七 嘘(うそ)をつかない

口は災いの元と言う言葉があるように、嘘(うそ)をつかない、罵(ののし)らない、陰口(かげぐち)をきかない、の三つの行為は、戒めなければなりません。